動物たちが生きる場をつくる 希望の一歩(新書余滴)

B面の岩波新書 2023-09-19

大塚敦子 2023年6月、私はボルネオに出かけました。オランウータンの森を修復するための植林プロジェクトにボランティアとして参加するためで、じつに3年半ぶりの海外旅行です。それは私にとって、先日上梓した『動物がくれる力教育、福祉、そして人生』の「おわりに」で書いたことの「実践編」とも言えるものでした。 この本は過去30年余り取材してきた「人と動物のかかわり」というテーマの集大成で、取材の場は小児病棟や高齢者施設、学校や図書館、裁判所、刑務所や少年院、補助犬と暮らす人々など多岐にわたっています。たとえば、子どもたちが犬や猫への読み聞かせから読書に親しむようになる、長期入院中の子どもたちが犬とふれあって笑顔を取り戻す、若者が保護犬のケアをとおして生き直すきっかけをつかむ、受刑者が蝶を育て、病気の亀を世話して自然界とのつながりを見出すなど、さまざまな人々が動物たちとのポジティブなかかわりによって変わっていく姿を描いています。 私はそれらの取材をとおし、動物たちは、私たちがよりよく生きるのを助けてくれるだけでなく、人間と自然との橋渡し役となってくれる存在でもあると実感するようになりました。動物

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